医院コラム(詳細)

log子どもたちの「口」が教えてくれる、小さなSOSのサイン

こんにちわ。名古屋市港区のオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

今回は、いつもとは少し違うテーマをお話しさせてください。
それは、「虐待とお口の健康」の関係についてです。

私は、すべての子どもが幸せに育ってほしいと願っています。
それは歯科医師になる前から、そして今も変わらない、私の根本にある想いです。

医療の現場では、時に「心配になるお子さん」と出会うことがあります。
たとえば、虫歯が何年も放置されていたり、痛みがあっても誰にも訴えられなかったり。
一見すると「忙しくて歯医者に連れてこられなかっただけ」に見えるかもしれません。
けれど、なかには「デンタルネグレクト」にあたるケースもあります。

これは、虫歯などの明らかな症状があるにもかかわらず、適切な歯科受診をさせず、放置することを指します。
食べることができない、眠れない、話すことができない――。
それは、子どもの「生きる力」を奪ってしまう深刻な行為です。

ところが、日本ではこの「デンタルネグレクト」という言葉自体の認知が、行政・保健・教育の現場を含めてほとんど浸透していません。
歯科検診などで明らかに異常が見られても、それを虐待の一環として扱う基準や支援体制が未整備なのが現状です。

私たち歯科医師が「何かおかしい」と感じても、制度的には“それ以上の対応ができない”ことも多く、もどかしさを感じる場面があります。

もちろん、すべての治療の遅れが虐待とは限りません。
経済的な事情、家庭環境、保護者の体調など、さまざまな背景があることも理解しています。

だからこそ、「責める」ではなく、「気づく」ことから始めたいのです。

「お口」は、子どもたちの健康・発達・家庭環境のすべてが反映される場所です。
そして、「歯を通じて、子どもと家庭を支えることができる」
――それが私たち歯科医療の強みでもあります。

私自身、歯科医師としてだけでなく、一人の大人として、「すべての子どもたちに安心できる環境を」と願い、今後も行政や地域医療との連携、正しい知識の発信、学校・園との連携など、できることを続けていきたいと考えています。

この問題は、私たち専門職だけでは解決できません。
身近なお子さんの様子が気になるとき、「あれ?」と思ったとき、どうか小さな気づきに目を向けてください。

そして、歯科を「虫歯を治す場所」ではなく、「子どもの未来を守る場所」として、もっと気軽にご活用いただけたら嬉しいです。

どうか、皆さんのご理解とご協力をお願いします。
私たちは、これからも「お口を通じて守れる命と未来」があることを信じて、活動を続けてまいります。