医院コラム(詳細)

log噛めば「食欲の秋」が“太らない秋”になる?

こんにちわ。名古屋市港区にあります、オリーブ歯科こども歯科クリニックです。

秋といえば、「食欲の秋」。
新米やさつまいも、きのこ、栗、果物など、旬の味覚が豊富に並ぶ季節。食卓が華やぐこの時期は、自然と食欲が増す季節ともいわれています。

でもその一方で、「ついつい食べ過ぎて太ってしまった」「食欲が止まらない」というお悩みも多くなる時期。
実は、この「食欲」と「肥満」の関係には、“噛む”という行為が深く関係していることをご存じでしょうか?

【食欲を決めるのは、実は“噛む回数”】
咀嚼(そしゃく)――つまり“噛む”という行為は、食べ物を細かくするだけでなく、脳の満腹中枢を刺激して食欲を抑える働きがあります。

これは医学的にも証明されています。
国立健康・栄養研究所による研究では、「咀嚼回数を増やすことで、食後のエネルギー代謝が高まり、満腹感が早く訪れる」ことが確認されています。つまり、よく噛む人ほど、自然に食べ過ぎを防げるのです。

また、しっかり噛むと唾液の分泌が促進され、消化吸収もスムーズになります。これが血糖値の急上昇を抑え、糖や脂肪を溜め込みにくい体質へと導いてくれるのです。

【「早食い・噛まない」が招く“見えない肥満”】
現代の食環境は、やわらかくて飲み込みやすい食品であふれています。
忙しい生活のなか、ファストフードやスナック、インスタント食品など“よく噛まなくても食べられるもの”を選びがちなのも事実です。

けれどこの“噛まない習慣”こそが、肥満の原因になっているかもしれません。

筑波大学の研究によれば、「早食いで咀嚼回数が少ない子どもほど、肥満リスクが高い」というデータが示されています。これは大人にも同様で、実際に多くの研究で「早食い」「咀嚼不足」が肥満や糖尿病のリスクを高める要因として報告されています。

さらに、噛まずに食べることで、脳が満腹感を感じる前に食べ終えてしまい、結果として“余計に食べてしまう、という悪循環が起こるのです。

【「噛むだけダイエット」は科学的にも有効】
一部では「よく噛むダイエット」として知られるこの習慣、実は見た目だけでなく健康的な体質改善にも有効です。

1口あたり30回噛むことを目標にするだけで、
・食事の時間が長くなり
・満腹中枢が働きやすくなり
・インスリンの急上昇が抑えられ
・胃腸の負担も軽減される

という複合的な効果が期待できます。
つまり、「噛む」ことは最も手軽で副作用のない“自然な食欲コントロール法”と言えるのです。

【子どもにも、大人にも、“噛む力”を育てる習慣を】
私たちオリーブ歯科こども歯科クリニックでは、「噛む力」や「口腔機能」をただの歯科治療の一部とは捉えていません。

食べ方の癖、噛み方の弱さ、口呼吸など、日常生活に溶け込んでしまっている“機能のゆがみ”が、将来的な肥満や全身疾患につながるリスクをはらんでいることを重く見ています。

特にお子さまに対しては、「オリーブジーニアスプログラム」の中で、食育・口育・咀嚼習慣の形成を段階的にサポートしています。
また大人の方に対しても、咀嚼回数の少なさや義歯不適合などによって食生活に支障がある場合には、噛む機能の再構築から生活改善までを包括的にご提案しています。

【“食欲の秋”を、“健康の秋”に変える】
この秋、おいしいものを楽しみながら、自分自身の「噛み方」「食べ方」にも目を向けてみてください。

・一口30回を意識して、しっかり噛む
・やわらかい物ばかりでなく、繊維質や弾力のある食材も取り入れる
・食卓での会話や箸休めを活用して、ゆっくり食べる習慣を作る

噛むことは、単なる歯の機能ではなく、**全身の健康を守る“はじまり”**です。

「食欲の秋」だからこそ、噛む力を見直し、健康と美味しさを両立させる秋にしませんか?

※参考文献:
    •    Saito T, et al. (2011). “Effect of chewing on postprandial thermogenesis and substrate utilization.” J Clin Biochem Nutr.
    •    Ochiai H, et al. (2012). “Eating behaviors and overweight among adolescents.” Appetite.
    •    厚生労働省「国民健康・栄養調査報告書」